『某社』としたが、まぎれもなく先般、私が退職した会社である。
なので、多少の脚色はするが、その根本に嘘はない。
これから人を呼び込もうという時に、自社のブラックな部分をあえて紹介するような会社はないだろう。
そうでなくても優れた人材は、より高く自分を評価してくれる会社に流れていくのが道理である。
それゆえ、
求人誌にはいいことしか書いていない。
これは周知の事実である。
・ アットホームな会社=社長以下、専務、常務など、役員はすべて身内と腰ぎんちゃくのイエスマン。
・ 先輩が丁寧に指導します=指導はするけど、限度はある。一度聞いたら覚えろよ。
・ 残業少なめ=残業は少ないけど、早出はある。
・ 残業手当支給=賞与で相殺。
・ 昇給あり=5年に一度だけどね。
まさに物は言いよう、求人票は書きよう…だ。
求人誌に、
社長サンと思しき人物が、斜め上あたりを見上げ、薄ら笑いを浮かべている写真が出てきたら、黄色信号。
社員のガッツポーズで「社員一丸となって楽しく仕事ができる会社です」アピールの写真が出てきたら、もうマズイから。
でも、こういうのに応募してくる人がいるのだよ。
某社はローカル中小企業だけれど、地元では一応名の知れた会社である。
でも、名前のある会社だからって、黒くないってことではないのである。
こんな会社だから、面接も独特である。
まず当日は早朝、会社の始業時刻に合わせて来社させる。
朝礼に参加させるためだ。
ひとことでは言い表せないが、とにかく宗教がかった不気味な朝礼である。
泣いたり、笑ったり、叫んだり、急に拍手したり、かと思えばなぞなぞを出し合ったりという朝礼である。
普通の人なら、もうこの段階でお察しになり、お帰りになるはずだ。
普通の人ならば…。
ところが不思議なことに、それでもなお、そこに留まる人は少なくない。
不採用が何度か続くと、自暴自棄になるのだろうね。
もう、この際どこでもいいから就職したい。
なんでもするから私を雇って。。。
その場に残るのはそんな人達なのだろう。
気持ちはわからなくもない。
だが、ここで彼らはもう一度冷静になるべきなのだ。
どう考えたっておかしいだろう。
朝礼の不気味さもさることながら、まだ入るかどうかもわからない会社、つまりは、よその会社の朝礼に参加するのだ。
その不自然さは、冷静に考えれば自ずとわかることではないか。
朝礼後に行われる面接は、応募者全員に対し面接官が4名。
新卒採用でもないのに、全員まとめての集団面接である。
「こんなに応募者がいて、もう大変ですよ」アピールをしたいのだろう。
面接官4名がそれぞれ、応募者各人全員分の履歴書のコピーを持つ。
履歴書コピーするってどうなのよ?
履歴書に基づいて質問をするので、応募者全員の家族構成やら前職やら退職理由など、そこにいる全ての人にまるわかり。
よもやそこに個人情報などはない。
まさにクソ面接。
この段階で、ようやくおかしいと気づいてお帰りになる人もいる。
当然帰るべきだろう。
しかし、これでもまだなおそこにとどまる人がいる。。。
こんな感じの面接が半日かけて行われるのである。
ここまで個人情報をさらされて、挙句の果てに不採用ではたまらないよね。
でもそういう会社だからしょーがない。
クソ面接を乗り超えてめでたく???採用が決まった人には、この後、地獄のような、理不尽極まりない研修という名の洗脳が待ち受けているのである。
お気の毒だ。
~今日の一句~
一度には 書ききれないから またつづく