「東京には空がない」
というフレーズを聞いて思い出すのは高村光太郎か、田中角栄か。
私の場合は後者です。
それを聞いたのは小学生の頃。
以降、私は本当に「東京には空がない」と思っていました。
正確には「ない」のではなく、
東京の空は光化学スモッグに覆われ、見渡す限り灰色で、
東京の住民は、昼間でも明かりをつけて生活しているのだと
本気で思っていたのです。
長いこと、それが私の東京の印象でした。
それを覆されたのは、ある日、何かのついでに東京へ行った時。
国境の長いトンネルを抜けて、群馬、埼玉そして東京。
そこで目にしたのは、遥か彼方まで続く青い空、
そして果てしなく高い空。
まさしく青天の霹靂。(←使い方違う??)
空あるじゃん!
こんなにきれいな空あるじゃん!!
それぐらい衝撃的だったのです。
田中角栄が、どういうシュチエーションでそれを言ったのかは
わかりません。
その言葉の後ろには、それに続く色々な話があったのだと
今なら容易に想像できます。
でも当時、人間ブルドーザーと呼ばれ、
飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍していた郷土の名士、田中角栄の
その言葉は、
強いインパクトを持って私の海馬に突き刺さっていたのです。
ずっと。
でも、、、
空=青空だとするならば、田中角栄のお膝元である、
ここ新潟においては、東京以上に
「空はない」です。
新潟の冬は長い。
その長い長い冬の間、空は灰色を通り越して鉛色。
それこそ、昼間から明かり…の生活です。
これほど気候が違えば、それぞれに暮らす人達の性格に
違いが出るのは当たり前。
この暗ーい空の下では、明るくハツラツと!というのは
なかなか難しいと自覚しています。
それほど新潟の空は灰色なのです。
そして、雪国の人は我慢強いとよく言われます。
そりゃあ我慢強くもなりますわ。
だって1年の内の半分は物理的に暗いのですもん。
雪の中で春になるのをじっと待っているんですよ。
我慢強くね。
その昔、新潟県を含む日本海側は「裏日本」と呼ばれていました。
表と裏、都会と田舎、の図式が浮かびます。
でも・・・
東京には空がないんだって~
ちょっとかわいそうかも~
漠然とそんなことを思ったりしていました。
恥ずかしいくらい世間知らずでどうしようもなかった
少女時代のお話でした。
でも、私は今でもその田舎で暮らし、
この先もずっとここで生き切るのです。
願わくば、この空にかの国の謎の飛翔体が飛んでくるようなことが
ありませんように。
ちなみにこれが今日の空。
おまけでその空の下の風景がコレ。
家から数歩でこの景色よ。
田舎だよね。
~今日の一句~
梅雨明けの 空はまだかと 仰ぎ見る